文書作成日:2024/06/05
個人年金保険で死亡給付金を受け取る場合の手続き

個人年金保険で死亡給付金を受け取る場合の手続きと、税金の取扱いについて教えてください。

Q
今月のご相談

 先日、妻が亡くなりました。妻の加入している生命保険は、妻を被保険者とする個人年金保険の契約が2つあります。契約@は契約者(保険料負担者)が私、契約Aは契約者(保険料負担者)が妻、となっています。手続きの流れや税金の取扱いについて教えてください。

【契約@】
  • 保険種類:個人年金保険(年金支給開始前)
  • 契約者(保険料負担者):私
  • 被保険者:妻
  • 年金受取人:私
  • 死亡給付金受取人:私
【契約A】
  • 保険種類:個人年金保険(年金支給開始前、払込期間中)
  • 契約者(保険料負担者):妻
  • 被保険者:妻
  • 年金受取人:妻
  • 死亡給付金受取人:私
A-1
ワンポイントアドバイス

 死亡給付金受取人であるご相談者様から保険会社にご連絡の上、所定の請求手続きをすることになります。税金の取扱いについては、契約@とAでそれぞれ異なります。詳細解説をご確認ください。

A-2
詳細解説
1.手続きの流れ

 契約@、Aともに、死亡給付金は受取人であるご相談者様に支払われます。保険金、給付金の受取人であるご相談者様から保険会社にご連絡の上、所定の請求手続きをとることになります。手元に保険証券があれば、証券番号を伝えるとスムーズです。もし保険証券を紛失している場合は、被保険者の氏名、生年月日を伝えることで契約内容の確認が可能です。

 その後、生命保険会社から手続きに関する説明や保険金請求書類が案内されます。必要事項を記入し、請求に必要な書類を取り寄せていただき、生命保険会社へ提出します。特段の事情がない限り、生命保険会社に請求書類が到着してから1週間程度を目安に、保険金・給付金が支払われます。書類に不備がある場合や、保険金・給付金支払いに関して事実確認が行われる場合は、支払いが遅れることもあります。

2.生命保険契約照会制度

 もし、加入中の生命保険契約を特定する手掛かりが全く無く、保険金等の請求が困難な場合は、生命保険協会が生命保険会社に対して契約の有無を照会する「生命保険契約照会制度」があります。

 法定相続人や法定相続人の任意代理人・法定代理人等から申請可能で、契約者、被保険者が亡くなった場合だけでなく、認知症等で判断能力が低下した場合も対象となります。

(※)災害時を除き、1照会あたり、3,000円(税込)の制度利用料がかかります。

3.税金の取扱い

 税金の取扱いは下記のとおりです。

【契約@】

 保険料負担者であるご相談者様が死亡給付金の受取人となっているため、一時所得として所得税と住民税の対象となります。

一時所得の金額 =(死亡給付金)−(払込保険料総額)−(特別控除額50万円)

(※)一時所得は他の所得と合算し、総合課税する時点で一時所得の金額の1/2が課税対象

【契約A】

 保険料負担者が奥様、死亡給付金の受取人がご相談者様のため、支払われた死亡給付金は、ご相談者様のみなし相続財産となります。相続税の対象になりますが、死亡給付金受取人が相続人である場合には、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を適用できます。ただし、この非課税枠は他にみなし相続財産となる死亡給付金等があれば、合計した金額から適用されます。ご注意ください。

(※)相続放棄した者、相続権を失った者は、生命保険の非課税枠は適用できません。

 生命保険金の受け取りは、被保険者、保険料負担者、死亡給付金等の受取人がそれぞれ誰かによって課税関係が異なります。契約の内容をよく確認し、課税の取扱いを判断する必要があります。また、生命保険は加入前に受取時の課税の判断をしておかれると、効果的な節税対策にもつながります。税金に関することは、当事務所へお問い合わせください。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
MENU
PAGE TOP